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第1講 科学的社会主義の源泉としてのルソー

 

ジャン・ジャック・ルソー(1712-1778)は、
一般にフランス革命を理論的に準備した啓蒙思想家であり、
近代民主主義の父として知られている。

しかし長年にわたって
果たしてそれでいいのか、科学的社会主義の父ではないのか
との疑問があった。
というのも、19世紀前半のヨーロッパにおける社会主義思想の広がりは、
明らかにフランス革命の「第2幕」(エンゲルス)として生じたものであり、
それが科学的社会主義に結実しているからである。
日本でも「東洋のルソー」と呼ばれた中江兆民の自由民権運動が、
その1番弟子幸徳秋水の社会主義思想を媒介して
科学的社会主義に発展している。
幸徳の盟友であり日本共産党の初代委員長であった堺利彦は、
兆民から秋水の社会主義への発展は「自然の道程であった」と語っている。

思うに、ルソーを科学的社会主義の源泉としてとらえない考えは、
レーニンの「マルクス主義の3つの源泉と3つの構成部分」に
由来するものではないかと思われる。
そこに「フランス社会主義」はあっても、ルソーの名はないからである。

この疑問に正面から取り組んでみようというのが、本講座の目的である。