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第5講 人民主権論 

 

一般に主権とは、国家の統治意志であり、
人民主権とは人民が国家の統治意志を決定しうる主権者であることとされている。
しかしルソーの人民主権の特徴は、
単に人民が国家意思決定に参加しうるだけではなく、
人民の一般意思にもとづく統治までを主張したところにある。

人民の「一般意思は、つねに正しく、つねに公の利益を目ざす」のにたいし、
全体意思はそうではない。
「多数決は必ずしも真ならず」である。
ではどうすれば全体意思を一般意思に一致させることができるのか。
そのためには「立法者」という「すぐれた知性が必要」となる。
立法者は「われわれの幸福のために喜んで心をくだき、
最後に、時代の進歩のかなたに光栄を用意しながらも、1つの世紀において働き、後の世紀において楽しむことのできる、そういう知性でなければなるまい」。

ルソーは、一般意思にもとづく人民主権の政治を唱えたが、
人民の一般意思形成の導き手となる「立法者」の存在には懐疑的だった。
それに回答を示したのがマルクス、エンゲルスだった。