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第2講 理性的であるものこそ現実的

 

「法の哲学」(1820年)の序文には、
ヘーゲル哲学の真髄を示す「理性的なものは現実的であり、
現実的なものは理性的である」という有名な命題がある。

この命題は一見すると現実を丸ごと肯定する保守主義とも見えるが、
そうではない。

その真意は、現実の分析をつうじて引き出された
「理性的なもの」(理想)は、
現実に転化する必然性を持っており、
他方「現実的なもの」のなかには
理想となるものが潜在しているというものであり、
理想と現実の統一という革命の論理を展開したもの。

反動の時代にあって、ヘーゲルは弾圧を逃れるために
分かりにくい言葉で革命を語ったのである。
 
その革命の立場は、この反動の時代に
「ただ現実との平和が保たれさえすればいいとするような、
冷たい絶望でもっても理性は満足しない。

認識が得させるものは、もっと熱い、現実との平和である」
との言葉にも示されている。