● 聴 講(①42:19、②39:16、③30:59)

 

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第7講 契約・不法

 

契約が成立するには、自由な意志を持つ
「直接的な自立の人格」が不可欠である。
身分的制約を持つ封建制社会では、自由な人格は存在しなかったが、
資本主義社会の下で「二重の意味で自由な労働者」(マルクス)が
誕生することにより、「身分から契約へ」移行する。

契約の対象となるのは、「個別の外面的な物件」だけであり、
人格を契約の対象とすることはできない。

したがって、カントが婚姻を契約としたのは誤り。

また自由な意思は、形式的自由の段階では「恣意」にすぎないから、
「契約は恣意から出発する」。
契約の持つ恣意という要素には、「不正と不法」の契機がある。

ヘーゲルは、マルクスが『資本論』で
株式会社とは「ペテンと詐欺の全体制を再生産する」としたことに、
哲学的根拠を与えている。

自由な意思は、絶対的に強制されえないものである。

にもかかわらず刑事罰を強制しうるのは、
自由な意思を破壊し、否定した犯罪を、法によって否定し、
「否定の否定」によって自由な意思を回復するから許されるのである。