● 聴 講(①43:36、②43:55、③21:43)

 

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第8講 道徳とは何か

 

「第2部 道徳」

自由な意思にもとづき、より善く生きるにはどう生きればいいのか
という生き方の真理を探究するのが、道徳。
それは、近代的な自我、つまり「何ものにも制約されない
自己決定の自由という主体的な自由の権利」を前提としており、
自己の自由な意思により自己のうちに真にあるべき道徳的意思を確立し、
それに向かって自己の自由な意思により 無限に接近しようとする立場である。
 
その意味で人間は、道徳において
「自己自身を絶対的なものと知り、かつ自己を規定するという、
このことがまさに人間の高い価値なのである」。
 
言い換えると、道徳的立場とは、
道徳的意志に向かって自己の意志を無限に前進させ、
それに一致させようとする「当為(かくあるべし)」の立場である。
 
しかし近代的自我は、他方で「自己の欲求が充足されることによって、
満足を覚える権利」であることから、その一面性を否定して、
道徳とは「義務の命ずるところを嫌悪しつつ行うこと」と
考える道徳観も生まれてくる。
そこにより善く生きるとは何かを論ずる意義がある。