● 聴 講(①42:53、②32:15、③④21:36)

 

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第10講 道徳から倫理へ

 

良心は「善」を生み出すことができるが、
それは「純粋な自己確信」にもとづく「善」にすぎない。
したがって良心から生まれる「善」は、善かもしれないし、悪かもしれない。

「意志はそれの概念において、善とともに悪」であり、
主観的な意思としての良心においては、「善と悪とは分離できない」のである。
言い換えると良心とは、自分自身が真理を決定しうるとする
傲慢な主観性の頂点に立つものでしかない。

こうして、もっぱら主観性のうちにのみ
生き方の真理を求めようとする「道徳」は、
主観性の一面性にとらわれるがゆえに非真理であることが明らかになり、
生き方の真理は主観と客観の統一に求められることになる。
それが「倫理」である。

人間は自由な精神の持ち主として、
真の自由である「概念的自由」を求める。

しかし、第1部の「法」では、抽象的に自由な法主体に止まり、
第2部の「道徳」では、内面的な自由が問題とされたに止まり、
現実的な「概念的自由」は問題にされていない。

そこで真の自由は主観と客観の統一としての倫理に求められることになる。