● 聴 講(①37:02、②28:39、③38:54)

 

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第15講 市民社会から国家へ

 

「欲求の体系」のもとでは、貧富の対立が生じるから、
個々人の生計と福祉が確保されるか否かは偶然性に委ねられている。

したがって「個々人の生計と福祉の保障が――つまり特殊的福祉が、
権利として取り扱われ実現されることを要求する」。

権利としての社会保障の起原は、ヘーゲルに求められなければならない。

この福祉を求める権利に現実性を与えるものが、
地方自治体による福祉行政である。

「人間がこのように市民社会の一員であるほかないとすれば、
・・・市民社会はその成員を保護し、
成員の諸権利を擁護しなければならない」のであり、
「一人の賤民をも生じさせてはならない」。

しかし、福祉行政は地方自治体による「一つの外的な秩序」にすぎないから、
貧困と賤民をなくすには、市民社会内部の普遍性としての
「職業団体」が求められることになる。
互助の精神にもとづく成員の貧困への助成は、
職業団体の当然の責務とされ、成員の自尊心を傷つけないで済む。