● 聴 講(①36:36、②39:54、③20:16)

 

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第19講 ヘーゲルからマルクスへ

 

マルクス主義は、「法の哲学」の批判から出発した。

批判の中心は、「法の哲学」では「国家が規定的な要素で、
市民社会は国家に規定される要素」としていることに向けられている。

史的唯物論を確立しつつあったマルクスにとって、
土台である経済社会としての「市民社会」こそ
「規定的な要素」としてとらえるべきとの批判である。

その批判は基本的に正しいものであるが、民主主義革命が、
まずは国家の革命としての民主連合政府の樹立にあることを考えれば、
マルクスの批判が一面的であったことは否定しえない。

またマルクスは、「法の哲学」が国家を
「倫理的精神」としていることをもって、
観念論との批判を加えている。

この点でもヘーゲルが論じているのは
「真にあるべき国家」という理念であったことが考慮されるべきであり、
また革命の哲学を覆い隠すために観念論的表現が取られたことも
考慮されるべきであろう。

マルクスが、ヘ―ゲルの立憲君主制を批判したのは当然ともいえるが、
同時にそれが主権在民論への問題提起となって
「プロレタリアート執権」に結実した功績もみておかねばならない。