2005年5月10日 講義
第3講 資本とは何か
1.貨幣の資本への転化
① 商品流通と資本の流通
● 自と他の弁証法
● 商品流通 → W―G―W(買うために売る)
・ その目的は、使用価値の取得であり、その運動は有限
● 資本の流通 → G―W―G(売るために買う)
・ その目的は、剰余価値の獲得。利潤第一主義(剰余価値の獲得は、資本の運
動の「推進的動機」と「規定的目的」)
・ その運動は、量の取得であるから限度がない(「絶対的な致富衝動」)
② 量から質への転化
● 対立物の相互移行の弁証法
・ 量と質とは区別され、対立するものであるのに量から質への移行が生ずる
● 貨幣から資本への移行は、量から質への移行の一例
・ エンゲルスのデューリング批判
2.剰余価値の生産
① 労働力という商品
● 剰余価値は G―W―G´ のどこから生まれるのか
・「流通から発生するわけにはいかないし、同じく流通から発生しないわけに
も行かない」(② 283ページ)
● 剰余価値は、Wそのものから生じる
・ Wとは、資本家が生産に必要な諸商品を購入し、それを使用して商品を生産
する「生産過程」
・ 購入する諸商品は、機械、道具、原材料と労働力
・ 労働力以外は、たんなる商品流通
● 労働力という特別の商品
・ 労働力は、人間の生命力の一形態であり、日価値ではかり売りされる
・ 労働力は、自己の持つ価値以上のものを生産するという「使用価値」を持つ
特別の商品
● 労働力の価値 = 労働者の生命力を維持・再生産するために必要な生活諸手段
の価値
・ 複雑労働をなしうる労働力は、単純労働の労働力より高い価値
・ 労働力の価値には「子供たちの生活諸手段も含む」(② 293ページ)
② 労働過程
● 商品の生産過程 使用価値の生産=労働過程価値の生産=価値形成過程(価値増
殖過程)
● 労働過程
・ 具体的有用的労働が、生産手段の価値を新商品に移転する
・ 資本家の管理下での労働
・ 生産物は資本家の所有物
③ 価値形成過程(価値増殖過程)
● 抽象的人間的労働が、新価値を形成する
・ シーニアの「最後の一時間説」の誤り
● 不変資本と可変資本の区別
● 必要労働時間と剰余労働時間の区別(必要労働と剰余労働)
● c+v+m
● 剰余価値率=m / v
④ 剰余価値の生産
● 資本家は、労働力を日価値で購入
・ 何時間使用するかは、労働力という商品の使用価値の問題であり、資本家の
勝手
・ 剰余価値生産のために、無制限に労働時間を延長させようとする衝動
● 絶対的剰余価値
・ 労働日の延長によって生産される剰余価値
・ 剰余労働を求める「人狼的渇望」(② 455ページ)
⑤ 標準労働日を求める階級闘争
● 労働力の利用と労働力の略奪の区別
● 労働者は、日々の労働力の再生産を求め、資本家は労働時間の無制限の延長を
求める
・「どちらも等しく商品交換の法則によって確認された権利対権利という一つ
の二律背反」(② 399ページ)
・「標準労働日の確立は、資本家と労働者とのあいだの数世紀にわたる闘争の
成果」(466ページ)
● 18世紀中葉までの前後のたたかい
・ それ以前は、国家の強制力による労働日の強制的延長
・ それ以後は、大工業による「強力で無限な突進」(② 480ページ)
● 工場法の立法の歴史は、階級闘争の歴史
・1833年工場法(1日15時間労働)に始まり、現在ヨーロッパでは週35時間労
働に
・ 標準労働日の創造は「隠されている内乱の産物」(② 519ページ)
*次回は第4篇「相対的剰余価値の生産」を予定
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