2005年6月28日 講義

 

 

第6講 労賃・資本の蓄積過程

 

1.労賃(第6篇)

① 労賃とは何か

● 本質と現象・仮象

 ・本質――運動、変化する事物のなかにあって、不変なもの

 ・本質は現象する――転倒した姿であらわれると仮象となる

 ・仮象も本質のあらわれ

● 労賃=労働力の価値(価格)

 ・しかし、労賃は、「労働の価値」という仮象としてあらわれる

 ・労賃が後払いのため

 ・なぜ労賃は後払いなのか――その労働力が平均的価値をもつか否かは、使用
  してみないと分からない

● 労賃の二つの基本形態

 ・時間賃金――労働力の価値を一日の労働時間で割ったもの

 ・出来高賃金――労働力の日価値を1日の生産された個数で割ったもの


② 労賃と物価

● 一国の労賃は、歴史的、社会的に規定されている

 ・労賃は、労働者の平均的生活費によって規定

 ・労賃は、物価を規定する――労賃は1日の労働の対価として、諸商品に含ま
  れる労働の量(価値)の基準となる

● 労賃は搾取を隠蔽する

 ・労賃が労働の対価としてあらわれることにより、「すべての労働が支払労働
  として現れる」(④ 923 / 562ページ)

 ・奴隷制社会、封建制社会との違い

● 労賃という仮象は、「資本主義的生産様式のあらゆる神秘化……の基礎」
 (④ 924 / 562ページ)

 

2.資本の蓄積過程(第7篇)

① 資本の蓄積とは何か

● 第7篇の主題――資本主義の本質は、資本の運動のなかで、どのように展開さ
 れるのか

● 資本の蓄積とは、「剰余価値を資本に再転化」(④ 993 / 605ページ)するこ
 とによる資本の成長・発展(巨大化)


② 単純再生産

● 資本を運動する主体としてとらえることにより「新しい性格」
 (④ 972 / 592ページ)があらわれる

● 一つは、資本が、「他人の不払労働の化身物」(④ 977 / 595ページ)である
 ことが明らかに

● 二つは、「賃労働者を生産し、再生産する」(④ 992 / 604ページ)


③ 商品の取得法則から資本主義的取得法則への転換

● 資本と労働の関係は形式的には対等平等な、等価交換

● しかし、実質は資本の側が「他人の不払労働を絶えず新たに取得する」
 (④ 1006 / 613ページ)不等価交換

●「商品流通にもとづく取得の法則」から「資本主義的取得法則」への弁証法的
 転換(④ 1006 / 613ページ)


④ 資本の蓄積は、資本家の個人的趣向の問題か

●「古典派経済学によってもたらされたあいまいさ」(④ 1008 / 614ページ)

● 蓄積は「市民の第一の義務」(④ 1008 / 615ページ)

● リカードウ学派――蓄積はすべて可変資本に回せ

● シーニア――資本家は節約して蓄積しろいずれも蓄積を資本家の主観の問題と


⑤ 資本の蓄積は、資本の本質から生まれる

● マルクスは、蓄積論を唯物論の土台の上にすえた

● 資本主義の本質は機械制大工業を基礎とした生産力の発展による剰余価値の
 取得

 ・生産力の発展は「資本が絶えず増大することを必然化」
  (④ 1016 / 618ページ)

 ・資本主義の本質が、資本の蓄積を生みだす

 ・「生産のための生産」のために「蓄積のための蓄積」
  (④ 1021 / 621ページ)

● 資本の蓄積は、不変資本の比率を高める方向に

 ・生産力の発展をもたらすものは、諸機械を中心とする「生産諸手段の総量」
  (④ 1071 / 650ページ)の増大

 ・資本の有機的構成(総資本に占める不変資本の割合)の高度化

 ・独自の資本主義的生産様式のもとで、資本は巨大な機械群と大工場をもつ巨
  大資本への成長・発展

● 資本の競争強制法則は、資本の集積(蓄積)から、資本の集中(群小資本の
 吸収)へ

 

 

*次回は第7篇の最後(第4冊の最後)まで