2006年2月14日 講義
第20講 まとめ ②
1.社会発展の基本矛盾
① 広義の経済学と社会発展の基本矛盾
● 広義の経済学とは
● 社会発展の基本矛盾は、「生産力と生産諸関係の矛盾」
● 生産諸関係は人と人の関係
――生産諸手段を所有する者と所有しない者との関係
・生産諸手段を所有する者――搾取階級
・生産諸手段を所有しない者――被搾取階級
● 原始共産制社会は、生産諸手段を社会的に共有し、搾取のない社会
② 資本主義的生産様式の基本矛盾
● エンゲルス、「社会的生産と資本主義的取得の矛盾」
● マルクスも、第1部第24章でほぼ同様の見解
・「社会的に利用される生産手段」と「資本主義的取得」の矛盾
・「資本主義的取得」とは第6講でのべた「資本主義的取得法則への弁証法的
転換」の意味
● 不破――エンゲルスの「基本矛盾の定式化は『資本論』への貢献」
2.基本矛盾の展開
① 基本矛盾のうちに「現代の衝突の全体がすでに萌芽として含まれている」
1)資本主義的蓄積の一般的法則に
● グローバル資本主義、カジノ資本主義で全世界的規模に貧富の格差拡大、日々
深化
2)生産と消費の矛盾
● 恐慌の長期化、慢性化
3)資本の過多と労働力の過剰の矛盾
● ゼロ成長、失業、ムダな公共事業、マネー ・ゲーム
② 資本主義的生産様式の矛盾の止揚
● 利潤の生産を規定的目的、推進的動機とするところに、資本主義的生産の「真
の制限」
●「"大洪水よ、わが亡きあとに来たれ"」(② 464 / 285ページ)
・地球温暖化、エネルギー資源の浪費、有害廃棄物の大量投棄
● 1980年代から、国連は「持続可能な開発」をかかげる――資本主義的開発への
批判
● 船井幸雄『断末魔の資本主義』(徳間書房)
・資本主義は根本的に矛盾を持った社会制度で永続不可能
・利潤を求めて「モア・アンド・モア」――有限な市場、地球資源と矛盾
● 資本主義の「制限」の「当為」として、利潤第一主義を克服した社会主義・共
産主義
・『資本論』は資本主義の「必然的没落」をも示すもの
③ 資本主義的矛盾の解決としての社会主義 ・共産主義
● 矛盾の解決は、「社会的生産と社会的取得」
● そのための「生産手段の社会化」
● 搾取階級をなくすことにより、資本にかわって人間が社会の主人公に
●「必然の国から自由の国への人類の飛躍」
・日本共産党綱領、「生産手段の社会化」プラス「国民が主人公」
● 21世紀は、社会変革の時代
・資本主義国でも「人間の顔をした資本主義」の探究
・南米での「新自由主義」に反対し、社会主義を求める動き
・中国、ベトナムでの社会主義市場経済の探究
→『資本論』を深く学んでこそ21世紀を生きぬくことができる
|