2007年1月9日 講義
第15講 概念論 ③
1.「c 推理」● 概念、判断、推理は「現実的なものの生きた精神」(162節) ・形式のなかに真理を含む ● 悟性概念と理性概念(182節補遺) ・概念の二つの種類ではない ── 抽象的概念に立ち止まるか、具体的概念 ● 推理にも、「悟性推理」と「理性推理」 ・悟性推理 ── 質的推理 ・理性推理 ── 反省の推理、必然性の推理 ・概念の推理
2.「推理」総論① 「推理は、概念と判断の統一」(181節) ● 推理の根本形式は「個 ── 特 ── 普」 ・個、特、普の同一性が定立されているという点では「概念」 ・個、特、普という概念のモメントに区別されているかぎりでは「判断」 ● 「あらゆる理性的なものは推理である」(同) ・「理性的なものは現実的であり、現実的なものは理性的である」(6節) ・現実的なものは特殊性をつうじて個と結合された普遍 ・あらゆる事物の普遍的形式をとらえたものが推理 ● 概念から判断へ(166節補遺)、判断から推理へ(181節補遺)の進展 ・概念の統一性は分裂して判断に ・判断自身が「推理のうちで概念の統一へ帰る」(同)
● 悟性的推理 ・形式論理学の三段論法 ・「個 ── 特 ── 普」の三つのモメントが「相互に単なる外的関係のうち ・「概念を欠いたものとしての理性的なもの」(同) ・三つのモメントは分離しうる ── 「事物の有限性をのみ表現」(同) ● 理性的推理 ・具体的普遍としての概念が分離しつつ、自分自身と結合 ・悟性規定から理性規定への前進は、形而上学から弁証法への前進
3.「推理」各論① 「イ 質的推理」(183節) 1)質的推理は、要素からも形式からも偶然的な悟性推理 ● 「このばらは赤い、赤は色である、ゆえにこのばらは色を持つ」「個 ── ・悟性推理 ── 個、特、普が「互に全く抽象的に対峙」(同補遺) ・「少しも役に立たない机上の空論」(同) ● 質的推理は、要素からして偶然的 ・主語は、多くの普遍と連結しうる ・中間項は主語の規定性の1つにすぎない ・別の媒概念をもってくれば、反対のことさえ証明される ● 質的推理は、形式の点でも偶然的 ・区別されたものが、概念の統一性として展開されていない ・大前提、小前提は、証明されていない ── 推理は無限にくり返される 2)三重の推理への進展 ● 第1格の欠陥は、第2格への進展に ・第2格は、第1格で証明ずみの「普」を大前提に ・第2格「普 ── 個 ── 特」 ● 第3格は、第2格で証明ずみの「特」を大前提に ── 「特 ── 普 ── 個」 ● 「あらゆる理性的なものは三重の推理として示される」(187節補遺) ・エンチクロペディーの体系も、三重の推理 ・論理学 ── 自然哲学 ── 精神哲学 ・自然哲学 ── 精神哲学 ── 論理学 ・精神哲学 ── 論理学 ── 自然哲学→自然から真にあるべき姿としての概 ● 推理の第4格「A=A=A] ・数学の公理
● 反省の推理は、概念の統一性の展開として理性推理 ● 演繹推理 ── 「普 ── 特 ── 個」(190節) ・「すべて」の「普」から「個」を推理 ・大前提の「すべて」が間違っていれば、結論も誤り ・「大前提は、大前提を前提として持つべき結論を、むしろそれ自身前提と ● 帰納推理「個 ── 特 ── 普」 ・「個」から「すべて」の「普」を推理 ・しかし「経験的個別性は、普遍性とは別のもの」であり、論理の飛躍があ ● 類推 ── 「個 ── 特 ── 普」 ・「特」は類的性質 ・「一定の類に属する事物が一定の性質を持つ」(同補遺)ことから、類的 ・直観と閃きによる ・「外面的な類推」(同)は、「無意味な遊戯」(同)
● 必然性の推理のもつ制約から、その結論は一つの仮説にすぎない ● これに対して、必然性の推理は、類と種の関係を土台にした推理 ・普 ── 特 ── 個の形式(普が類、特が種) ・真理性が担保される理性推理 ● 定言的推理、仮言的推理、選言的推理
● ヘーゲルは概念の推理については述べていない ● しかし、概念の判断のうちの確然的判断は、概念の推理を示すもの ・真にあるべき姿に一致するか否かを推理する ・概念の推理こそ最高の推理 ● 旧ソ連は、社会主義の概念と一致しないから社会主義国家ではないと推理さ ・「社会主義とは、国民が主人公の社会、旧ソ連は、国民抑圧の社会、ゆえ
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