2008年2月20日 講義
第17講 社会主義 ① 「歴史的概説」
1.歴史的概説① 今日的到達点にたって社会主義を ● 『反デューリング論』から130年 ・その間、ソ連の誕生と崩壊を含め、様々の社会主義的経験 ・ユーゴの自主管理社会主義 ・中国、ベトナムの社会主義自主経済 ・中南米の社会主義のルネッサンス ● 130年間の模索をふまえて、社会主義の理念が論じられるべき
● フランス革命の「自由・平等・友愛」実現をめざして、社会主義・共産主義の ・イギリス人は経済的に、フランス人は政治的に、ドイツ人は哲学的に接近 ● フランスでは、ブルジョア民主主義への失望から共産主義がはじまる ・ブルジョア民主主義の欺瞞生(えせの自由・平等) ・「ほんとうの自由およびほんとうの平等」としてのバブーフ共産主義 ・自由と民主主義は、社会主義・共産主義の本質的構成要素 ● 社会主義・共産主義は、人間解放の理論 ・人間の本質は自由な意識と共同社会性 ・階級社会における搾取と国家的抑圧により、人間疎外(二重の疎外) ・二重の疎外から解放されて、人間が人間の本質を取り戻すのが、社会主義 ・共産主義
● フランス革命でめざした「理性国家」は「ブルジョアジーの国を理想化したも ・「この幻想を確認」(468ページ)した3人 ・サン・シモン、フーリエ、オーエン ● 「資本主義的生産の未熟な状態に対応して、理論も未熟」(469ページ) ・階級対立が未発展 ・プロレタリアートは、「上から助けてやるほかはない、抑圧され苦しんでい ・彼らは、「完全な社会制度の一体系を考えだし」(470ページ)、これを ・「これらの新しい社会体系は、はじめからユートピアになる運命にあった」 ● 彼らの天才的な思想の萌芽 ・サン・シモン――フランス革命を階級闘争ととらえる。経済が土台 ・フーリエ――「文明においては、貧困は過剰から生じる」(473ページ)。 ・オーエン――ニューラナークでの実験をつうじて共産主義者に。幼稚園の発 ● デューリングは、時代錯誤の「最新のユートピア社会主義者」(481ページ)
2.資本主義から社会主義へ① 史的唯物論 ● 近代社会主義は、生産力と生産様式との衝突の「思想的反射」(485ページ) ● 資本主義の矛盾とは何か ・小経営では、「個人的生産と個人的取得」(労働と所有の結合) ・資本主義的生産様式は、生産手段が道具から機械に転換する「機械制大工
● 資本主義の基本矛盾は、「社会的生産と資本主義的取得」(488ページ)との ・「社会的生産と個人的取得」の矛盾と置きかえうる ・この矛盾のうちに「現代の衝突の全体がすでに萌芽として含まれている」 ・この矛盾を解決し「社会的生産と社会的取得」を実現するのが社会主義 ● 「社会的生産」は、内容上の社会的生産と形式上の個人的生産の矛盾 ・この矛盾の解決が生産手段の社会化 ・これにより、内容、形式ともに社会的生産に ● 「社会的取得」は生産手段としての生産物のみ ・消費手段は個人的取得 ● 基本矛盾の展開 1)「プロレタリアートとブルジョアジーとの対立」(489ページ) ・資本主義的生産様式のもとでは、賃労働が「基本形態」(同) ・農民のプロレタリアートへの転落による二大階級の形成 2)工場内の生産の組織化と、「社会における生産の無政府状態との対立」 ・資本主義的生産様式は、商品生産が支配的な社会――生産の無政府性 ・しかし、商品交換には市場原理が働き、市場価格よりも安いコストで生産し ・競争の強制法則が、工場内の生産の組織化と生産の無政府性との矛盾を生み 3)生産と消費の矛盾とその一時的解決としての恐慌 ・ 生産力の発展による労働者人口の増大と、機械化による労働者の駆逐 ・産業予備軍の存在が労働力を価値以下に ・一方の極の富の蓄積と他方の極の貧困、労働苦の蓄積→生産力の膨張に比 ・ 生産と消費の矛盾の一時的・暴力的解決が恐慌 ・資本主義的生産様式に生産力の管理能力がなくなったことを証明するもの ・資本という性質からの解放を求めるもの ・恐慌を解決するには、「社会的生産と社会的取得」を実現する以外にない
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