● 聴 講(①59:36、②48:58、③21:06)

 

[資 料] ※別ウインドウが開きます

 ● レジュメを読む(txt

 ● 出版書籍で読む(txt

 ● 高村講師に質問する(フォーム

 ● 本講座のトップに戻る

 

 

第15講 科学的社会主義の発展のために

 

本講座のまとめとなるのが本講義だ。
第1に、科学的社会主義の哲学が2600年の哲学史の総括から生まれた「最後の哲学」であり、「最も発展した、最も豊富な、最も深い哲学」であることの論証を確認した。
第2に、「歴史とともに進行する不断の進歩と発展を特徴としている」ことを証明するうえで、①社会主義論 ②思考と存在の同一性 ③唯物論と観念論 ④弁証法の定式化 ⑤科学的社会主義の人間論、の5点について問題提起がなされた。  

第1/論証の確認
科学的社会主義の哲学は、弁証法的唯物論と史的唯物論という「思考の最高の形式」を手にすることにより、真理を探究する「最も発展した哲学」となる。同時に、自然、人間、社会という世界のすべての構成部分について真理を探究しうる「全一的な世界観」として、これまで哲学史上で問題とされたテーマのすべてを含む「最も豊富な哲学」ともなる。
特に人間社会の一般的運動・発展法則を解明した功績は大きく、人類、社会、国家の誕生の秘密を唯物論的に解明するに至った。また弁証法を駆使してうまれた剰余価値学説により、人類史上はじめて資本主義の運動法則が解明され、資本主義の歴史的限界と社会主義への発展の必然性が科学的に明らかにされた。また、カテゴリー論においてもヘーゲルの哲学的カテゴリーに社会的、経済的諸カテゴリーを付加することで、最も豊富なカテゴリーをもつこととなった。
したがって、科学的社会主義の哲学は、2600年の哲学史を総括する「最後の哲学」として「一見過去のものであるように思われるすべてのものが保存され、含有され」ているばかりでなく、より発展したものに高められ、さらに現代観念論のあらゆる攻撃との論争をつうじてより深く、より強固なものに発展した「最も深い哲学」である論証となったと講師は説く。

第2/5点の問題提起
社会主義の原点は人間を最高の存在にする真のヒューマニズムの社会であり、従来の3つの基準はそれを実現する手段にすぎないこと。科学的社会主義の哲学は何よりも革命の哲学であり、思考と存在との同一性の問題もその観点から論じるべきであること。唯物論か観念論かの対立には、世界の根源性の問題と同時に認識の源泉性の問題があり、科学的社会主義は、このいずれの問題でも唯物論にたつことで唯一の真理認識の思惟形式に到達したこと。弁証法の定式化は未完の作業であるが、その基本法則は対立物の統一であり、その展開として対立物の相互浸透と対立物の相互排斥があること。レーニンの3つの構成部分には問題があり、人間論は人間解放を唱える科学的社会主義の本質的構成部分であることが明確にされねばならないこと。それらを明らかにしていく。

最後に講師は、哲学史を学ぶ意義について、ヘーゲルの言葉を引きながら「時代の精神をとらえ、それに現実性を与えること」にあり、社会変革のために「いかに生きるべきか」を探求しようと呼びかける。