● 聴 講(①1:00:53、②45:14、③24:18)

 

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第13講 「E 宗教」

 

宗教とは、絶対者=人間とする民族特有の精神。
その民族精神は、自然宗教、芸術宗教、啓示宗教の歴史ということができる。

自然宗教とは、東方の民族精神としての宗教であり、
光(ゾロアスター教)花、動物(インド)、
工作物(ピラミッド、スフィンクス)など特定の自然物を絶対者とする。

芸術宗教とは、ギリシャの民族精神としての芸術と一体化した宗教。
それは、芸術作品のうちに絶対者を見るのであり、
その作品とは神託、賛歌、礼拝の「抽象的芸術品」、
オリンピック選手の「生きた芸術品」、
叙事詩、悲劇、喜劇を絶対者とする「精神的芸術品」の3つに分かれ、
精神的芸術品にギリシャの「人倫的精神」が顕著に表れている。

啓示宗教とは、キリストゲルマン的精神としての、
絶対者を父と子と聖霊の三位一体としてとらえるキリスト教のことである。
ここにおいて神=人間であると同時に、自己(神)から他在(イエス)へ、
他在から自己(聖霊)への復帰という精神の運動そのものが示されている。
それは神の本性が絶対的精神であることが人間に示されているという意味で、
啓示宗教であり、絶対宗教である。

しかし、啓示宗教もまだ現実の衣をまとった「表象」にすぎないところから、
純粋な精神である絶対知に前進しなければならない。

 

コラムは、まず前回の史的唯物論と道徳論の続き。
科学的社会主義の一般的道徳法則の基本は、
「人間が人間らしく生きるためのヒューマニズム」にある。
人間らしく「生きる」ためには、まず生命の尊厳が求められ、
戦争、暴力は否定される。
また「人間らしく」生きるためには
「自由な精神」と「共同社会性」が求められる。
自由な精神は、真理と正義を愛し、虚偽や不正を許さない。
また共同社会性は、個人と国家ないし社会との一体化を求める
民主主義的道徳である。
こうした一般的道徳法則の展開として、
具体的道徳法則が求められることになる。

コラムの2つ目は、史的唯物論と宗教の問題。
科学的社会主義と宗教とは世界観を異にし、
共通する理念は存在しないかのように思われているが、
国家の2面性を反映し、宗教にも階級支配のための宗教と
人民の宗教の2つの側面がある。
人民の宗教は、人民の「なやみ」を精神的に解決しようとする
ヒューマニズムという本質的理念をもっている。
人民の宗教と、科学的社会主義とは、この点で共通する理念を持っており、
この土台の上での共同行動が求められている。