2015年12月12日 講義
第2講 「事実は真実の敵なり」
1.すべての事物は対立・矛盾をもっている● 真理とは、すべての事物が対立・矛盾をもっていることを認めること ・「運動のない物質が考えられないのは、物質のない運動が考えられないの ・すべての事物は対立・矛盾をもっていることによって運動している ・真理とは、すべての事物が対立・矛盾をもっていることを認めること ●「事実は真実の敵なり」 ・真理とは、すべての事物を一面的にとらえるのではなく、全面的にとらえ ・全面的にとらえるとは、すべての事物を「対立物の統一」としてとらえる ・すべての事物を一面的にとらえることは、「真実の敵なり」 ・「誤謬は、……感覚的経験が保証する以上により広い、より一般的な存在 ・対立・矛盾の一方のみを「度はずれ」に誇張することは一面的であり、誤
2.すべての事物は対立物の統一である● 弁証法を学ぶことは、対立物の統一のいくつかの基本形式を学ぶこと ・弁証法を体系的に論じたへーゲルの「論理学」には、いくつかの対立物の ・そのうちのいくつかを身につけておくことで、弁証法の応用能力は格段に ・そのいくつかの例を紹介しておきたい ● 偶然と必然の統一 ・「柳の下の」「を守りて兎を待つ」 ・偶然と必然を取り違えることのたとえ ・すべての事物は偶然と必然の統一としてのみ存在している ・すべてを偶然としてとらえる誤謬──自然や社会の必然性、法則性を否定 ・すべてを必然としてとらえる誤謬──「エンドウのさやに5つのエンドウ ・すべての事物は偶然と必然の統一としてあるから、偶然を排して必然を生 ・すべての事物が必然なら人間の実践の果たすべき役割はなく、すべての事 ・真理の認識とは、偶然と必然の統一のうちにある自然や社会のうちに、存 ● 本質と現象の統一 ・「下手の長談義」「重箱の隅をつつく」 ・現象のみを追いかけ、本質をみないことのたとえ ・すべての事物は、本質と現象の統一としてのみ存在する ・本質は、その事物の「真の姿」であり「不変なもの」であるのに対し、現 ・本質と現象の相互媒介の関係が、その事物の「運動=発展法則」を生みだ ・すなわち、変わらぬ本質がさまざまな現象形態をもって現れるところに、そ ● 同一と区別の統一 ・「蛙の子は蛙」と「トンビが鷹を生む」 ・前者は同一(A=A)を示し、後者は区別(A=A'orB)を示す ・すべての事物は、同一と区別の統一としてのみ存在する ・すなわち、すべての事物は、静止しているように見えながら、不断に変化 ・すべての事物は、直接性と媒介性の統一、自立と連関の統一として、同一 ● 量と質の統一 ・「塵も積もれば山となる」「三人寄れば文殊の知恵」 ・量を蓄積すると、質の転化をもたらす ・すべての事物は、量と質の統一としてのみ存在し、「モノには限度がある」 ・量と質とは全く異なるものだが、量の変化が限度を越えると質の変化とな ・量から質への移行は、対立物の相互移行の一例 ● 理想と現実の統一 ・「百貫の鷹も放さねば知れぬ」 ・物や人の値打ちは、実際に使ってみないと分からないことのたとえ ・すべての理想は、外見だけで判断するのは難しく、実際を通じてでないと ・現実の矛盾を解決するもののみが、真の理想となる ・事実の真理を知ることをつうじて、当為の真理を知ることになる──マッ ・事実と価値の統一は、現実と理想の統一をもたらす
3.弁証法を2つの観点から取り組む● 私たちが主体的に生きるには、 ・この2つの観点において、弁証法がいかに「最も鋭利な武器」となるかを ● 人間は直立2足歩行の本質をもつ動物 ・この本質から手を動かしモノをつくるという現象が生じる(本質と現象) ・モノをつくるとは、対象となる事物(自然)を変革の立場にたって考察す ・変革の立場にたって事物を考察するとき、事物は対立・矛盾をもってあら ・事物の対立・矛盾を解決するものとして、事物の変革がみえてくる ・人間は変革の立場にたつことで、世界をどう変えるのかがみえてくる=真 ● 人間は社会的存在の本質をもつ動物 ・人間とチンパンジーとはDNAで1%の違いもない ・それなのに生活様態に大きな違いの生じているのは、社会(生活と生産の ・この本質から、「1人はみんなのために、みんなは1人のために」という ・「最高の共同性は最高の自由である」(へーゲル) ・人間は自由と民主主義を身につけることで社会的存在となりうる
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