2018年4月21日 講義

 

 

第14講 新しい統一戦線の発展のために

 

1.新しい統一戦線の分断と再編

● アベ首相 2017.9.25 突然の解散

 ・支配階級による分断と支配、被支配階級の連帯と勝利の階級闘争の始まり

 ・最大の争点は、中間階級の政党である民進党を、支配階級と被支配階級の
  いずれが味方にするか、に

 ・9.20 共産、民進、自由、社民の4野党会談で「小選挙区での野党一本化
  を模索」したことが分断の契機となる

● 新しい統一戦線の分断への反撃

 ・9.25 解散に合わせ、小池都知事「希望の党」結成

 ・9.28 前原民進党代表、民進党の「希望の党」への丸ごと合流提案、民進
  党両議員総会で満場一致で承認

 ・新しい保守政党の誕生で、野党共闘を分断すると同時に、自民党との二大
  保守政党で政権のたらい回しをねらったもの

 ・勝利を確信した小池代表は、希望の党への入党は安保法制容認と9条改憲
  の承認を条件とすると明言

● 市民と野党の反撃

 ・9.28 日本共産党、希望の党は「自民党の補完勢力」「共闘は決して諦め
  ない」との声明発表

 ・2015.12の市民連合結成以来、2年間の市民と野党の共闘への確信が背景
  に

 ・9.29 市民連合、希望の党との共闘を否定し、共闘の再生を追求

 ・各地で民進党候補者に対し、希望の党へ行かないように説得活動。民進党
  のなかに動揺が生まれる

 ・10.2 立憲民主党結成、立憲主義の回復を求め安保法制にも反対

 ・10.3 日本共産党、立憲民主党の結成を「歓迎」し、「共闘の原点と大義
  に立ち返って行動する方々とは、この間の経過や行きがかりをのりこえて、
  協力・連携を追及」と表明し、67の小選挙区で候補者を一方的に降ろす

 ・10.10 総選挙告示。共産、立憲民主、社民の3野党は、市民連合と7項
  目の政策合意を結び選挙戦をたたかう

 ・民進党から離脱した無所属の候補者も野党統一候補としてたたかう

● 総選挙の結果

 ・立憲民主党、野党第一党に

 ・市民と野党の共闘勢力は、3野党で38議席から、69議席へと躍進、無所属
  統一候補も勝利

 ・市民と野党の共闘は、再編されながら再出発に踏みだす

 ・日本共産党は、小選挙区で1(沖縄)、比例で20から11に後退

 ・志位委員長は、候補者を降ろした「見返りは民主主義」と答える

 ・全国で新しい共同の絆がつくられ、信頼関係が生まれたことを述べたもの

 

2.新しい統一戦線の再編を生みだした力

① 上からの力と下からの力の統一

 ・新しい統一戦線の2年間の実績は、上からの力と下からの力の統一はどん
  なことがあっても分断させてはならないとの共闘の意志に

 ・それが 9.28 の日本共産党の「自民の補完勢力」の声明と、9.29 の市民連合
  の共闘の再生の呼びかけとして示される

 ・希望の党の本質の解明が、日本共産党と市民連合という上からの力と下か
  らの力とが手を結んでおこなわれ、民進党の候補者に「希望の党に行くな
  」の全国的運動に


② リスペクトの最大限の活用

 ・共闘にかんするリスペクトとは、共にたたかう仲間に対するリスペクトと
  同時に、多様性をもった人々へのリスペクトにより一致点の拡大をめざす

 ・99%の人民が団結するには、この二重の意味のリスペクトが重要になる

 ・立憲民主党は、結党当時「立憲民主主義」は表明したものの、共闘につい
  ては一言も触れず

 ・しかし日本共産党は「立憲民主党」の立ち上げは「共闘の原点と大義に立
  ち返って行動するもの」として評価すると同時に、「この間の経過や行き
  がかりをのりこえて、協力、連携」しようと、リスペクトを表明

 ・さらに一方的に候補者を降ろして、立憲民主党の勝利の基盤を築く

 ・「オール埼玉総行動」責任者は、「共産党の決断が立憲勢力の前進の最大
  の貢献となったことは間違いない」として、日本共産党のリスペクトを高
  く評価


③ 日本共産党が新しい統一戦線の中核で有ることが、
  市民と野党の共闘の共通の認識に

 ・「見返りは民主主義」の発言には、新しい統一戦線を守り、発展させるこ
  とに、日本共産党は生命をかけるとの思いが詰まっている

 ・市民と野党の共闘は、この言葉の意味を深く理解し、新しい統一戦線に日
  本共産党が不可欠であることを共通の認識とすることになった

 

3.新しい統一戦線の今後の課題

① 支配階級の分断と支配に対し、被支配階級の連帯と
  勝利のたたかいは、これからも続く

 ・少数の支配階級は、虚偽の事実をばらまいて、人民をバラバラに分断して
  支配する

 ・これに対し、被支配階級は、真理を明らかにし、真理の力で人民の間に連
  帯と団結を生みだし、勝利する

 ・現代の階級闘争の課題は、統一戦線の勢力が人民多数の支持を得て、国会
  で安定した過半数を占めて統一戦線の政府をつくることにある

 ・それは真理の力で言論戦に勝ち抜くことを意味しており、これからの階級
  闘争も分断して支配することに対する連帯と勝利のたたかいとして繰り返
  されることを学んでおく必要がある


② 階級闘争に勝利するには、人民の99%を統一戦線の側に

 ・その時々の政治的課題について、奥深い真理を明らかにして、99%の人
  民を真理に目覚めさせ、統一戦線の側に結集することが必要

 ・同時に統一戦線の側も、人間の本質にもとづく根本的な連帯を追求しなけ
  ればならない

 ・それを教えてくれたのが、「オール沖縄」の教訓

 ・「戦争の前には保守も、革新もない」との呼びかけには、戦争とは人間ら
  しく生きること(命を尊び自由を尊重するという個人の尊厳)が奪われる
  という人間の本質にもとづく連帯の叫びが潜んでいる

 ・これに学んで、新しい統一戦線も、個人の尊厳にもとづく連帯として出発

 ・しかし人間の本質には、「一個の人格」としての生命、自由とあわせて、
  「社会的存在」としての民主主義、平等という2つの本質がある

 ・「見返りは民主主義」の発言には、これまでの新しい統一戦線に欠けてい
  た民主主義、平等に目を向けさせるうえで画期的な意義をもつ

 ・新しい統一戦線は、個人の尊厳と民主主義という人間の2つの本質へのリ
  スペクトにもとづく連帯を基本としながら、政治的多様性をリスペクトし
  つつ一致点を拡大し、99%の人民の連帯を実現しなければならない


③ リスペクトによる統一戦線の発展

 ・「森友」文書改ざん問題に続きイラク派兵14,000ページの「日報」隠ぺい
  で、アベ内閣の支持率急落、新しい統一戦線が大きく発展しようとしてい
  る

 ・アベ内閣打倒の運動のもりあがりは、市民運動の発展と同時に、共産、立
  憲民主、民進、希望、自由、社民という6野党の結束がある

 ・4野党共闘から6野党の共同に前進した理由は、「共闘の原点と大義に立
  ち返って行動する方々とは、この間の経過や行きがかりをのりこえて、協
  力・連携を追求していく」という、日本共産党のリスペクトの精神

 ・共闘の原理としてのリスペクトの精神は、人間の本質に対するリスペクト
  によって、限りなく人間的な連帯を発展させていくことを示している

 ・その時々の政治的課題で、共にたたかう仲間をリスペクトの精神で迎える
  ことは、必ず新しい統一戦線の発展に貢献する