講座の紹介

 

『資本論』を哲学する

全12講

 

 

 

2020年10月から全12講が行われた本講座の説明として、受講生募集チラシに掲載された高村講師の案内文を転載します。

 

 2019年9月から、新版『資本論』全12巻の刊行が始まりました。それにあわせて、不破哲三社会科学研究所所長の「『資本論』編集の歴史からみた新版の意義」と題する講演(しんぶん赤旗9/23)も行なわれました。
 2006年に「『資本論』の弁証法」を出版以来、そこで十分に解明出来なかった資本主義社会の経済的運動法則、とりわけその必然的没落に至る道筋をどうとらえるべきかについて、頭を悩ませてきましたが、この際『資本論』をもう少し研究してみたいとの気持ちが高ぶりました。
 折しも、斉藤幸平大阪市立大学准教授が、『再びマルクスに学ぶ』(10/30朝日)とのインタビューのなかで、「マルクスは、人間の生活の本質は『自然とのたえざる物質代謝』にある」として、気候変動に対するカギは、マルクスの『資本論』にあると述べていることを知りました。調べてみると、斉藤氏は33歳の若さながら、『大洪水の前に』(堀之内出版)で国際賞を受賞している著名な学者であることを知り、早速購入することになりました。 
 さらに、久留間鮫造氏の『マルクス経済学レキシコン』の系譜を引く、大谷禎之介法政大学名誉教授と前畑憲子立教大学名誉教授編『マルクスの恐慌論』、大谷氏の『資本論草稿にマルクスの苦闘を読む』、小西一雄立教大学名誉教授の『資本主義の成熟と転換』などを学ぶことになりました。とくに『マルクスの恐慌論』は750頁を超える大部であり、学会での緻密な議論に何度となく気が折れそうになりましたが、同時に新たな課題に挑戦する喜びも感じることが出来ました。
 こうして少しずつ資本主義の必然的没落論が見えてきましたので、労学協の哲学講座として、全12回で「『資本論』を哲学する」と題して、自分なりに理解した講座を開催することにしました。
「『資本論』を哲学する」としたのは、何よりも哲学は世界観の根本問題を論じ、何が本源的な問題であるかを論じるところにあるからです。『資本論』をつうじて、資本主義にはどんな根本矛盾があり、それが現代社会においてどのように展開し、必然的没落への道を歩むことになるのか、私たちは今何をしなければならないのか、などの問題を皆さんと一緒に考えて行きたいと考えています。これまで、約30年間連続して哲学講座を開催してきましたが、おそらく今度の講座が最後になると思います。
  2020年10月17日からの全12回、毎月第3土曜日、午前10時から12時まで、最初の1時間が講義、その後45分の討論、15分の感想文の予定です。場所は労学協教室です。多数のご参加を期待致します。

当時の募集チラシ(PDF)