2006年3月26日 講演

 

● 聴 講(①41:44、②46:38)

 

土佐・高知の旅記念講演

日本共産党綱領に継承される
自由民権思想の系譜


1.日本共産党綱領の生命力

● 因島(尾道市)増員選挙

● 日中会談

● ドイツ左翼党

 

2.党綱領の生命力の根本は「国民が主人公」

●「国民が主人公」は日本共産党の過去、現在、未来をつらぬく根本原理

●「国民が主人公」は科学的社会主義の学説上明確には位置づけられていない
  ── 明確なのは「労働者階級の権力(プロレタリアート執権)」のみ

 

3.「国民が主人公」の源泉はルソー「人民主権論」

● ルソー『社会契約論』

 ・フランス革命のバイブル

 ・人民の「一般意志」による治者と被治者の同一性

● フランス革命で挫折した「人民主権論」を引きついで、「共産主義の妖怪」
 がヨーロッパをさまよう

 

4.パリ・コミューンを経て
  「人民主権論」は「労働者階級の権力」へ

● パリ・コミューン ── 人民の人民による人民のための政治

● マルクスは、「労働者階級が『導き手』となった人民の権力」を「労働者階
 級の権力」とよんだ

 

5.レーニン、スターリンによる
  「労働者階級の権力」概念の歪曲

● レーニン ──「労働者階級の権力」=ソビエト「なにものにも制限されない
 権力」として、普通選挙も議会も認めない
● スターリン ──「スターリン憲法」で事実上「労働者階級の権力」を「ソ連
 共産党の権力」化

 

6.日本共産党と自由民権運動

● 自由民権はルソー「人民主権」論を中軸とするもの

 ・ ルソーの思想を社会主義に発展させた幸徳秋水、堺利彦

● 1922.7 日本共産党(コミンテルン日本支部)創立、堺初代委員長に

 ・「日本共産党は、わが国の進歩と革命の伝統を受けついで」(綱領)創立

 ・その伝統の一つが自由民権運動

 

7.戦前の党綱領とコミンテルン

● コミンテルン20回大会で、支部承認の条件にレーニン流「労働者階級の権
 力」論の承認をきめる

● 23年綱領草案はコミンテルン色の濃いもの

 ・君主制の廃止は「一時的な手段」、しかも人民主権の見地からのものでは
  ない

● 27年テーゼ ── 二段階革命論をかかげるものの、日本人民の進歩的・革命
 的伝統を一切否定

● 31年テーゼ ── コミンテルンの干渉により、天皇制廃止の民主主義革命を
 回避しようとし、野呂、市川らの反対でつぶれる

● 32年テーゼ ── 戦前の画期的指針となる
 自由民権運動を継承発展されたものとして、日本共産党は、コミンテルンに
 抗して、天皇制の廃止をかかげ、しかもそれを「人民主権」論と結びつけて
 とらえた(自主独立の萌芽)

 

8.戦後の党のたたかいと人民主権論

● 1945.12
 4回大会行動綱領「天皇制の打倒」を「人民共和制の樹立」と結合

● 1946.2
 5回大会宣言「天皇制に代えるに人民自身が主権を握る民主制を確立」

● 1946.6
 「日本共産党憲法草案」──「日本人民共和国の主権は、人民にある」

 

9.なぜ日本共産党は人民主権、
  「国民が主人公」をつらぬくことができたのか

● 自由民権運動の伝統がコミンテルンの31年テーゼの押しつけを許さなかっ
 た

● 戦前の二段階革命論を引きつぐと同時に、「50年問題」の総括をつうじて、
 自主独立の立場を堅持し、61年綱領を制定した日本共産党の自主独立のD
 NAが「国民が主人公」を生みだした

 

10.「国民が主人公」は、科学的社会主義の本流

● 「労働者階級の権力」は古くなったのではない

 ・労働者階級の党であると同時に国民の党である日本共産党が「導き手」と
  なった人民の権力

 ・日本共産党という「導き手」なしに、人民の多数を人民の一般意志に発展
  させることはできない

● 「国民が主人公」とは、「主権在民の人民主権」の政治

 ・人民の多数の意志が人民の一般意志となった政治

● ベネズエラの教訓

 ・99年、国民の多数の意志でチャベス政権誕生

 ・これまで8回の国民投票のすべてに勝利して、人民の一般意志は、社会主
  義に向かって前進している

 ・しかもこの波が、今やラテンアメリカの人口の8割をおおうほどに急速に
  広がっている

● 「国民が主人公」をキーワードとする党綱領は今後ますます、新しい、しか
 も本来の社会主義を展望するものとして、生命力を増していくことになるだ
 ろう