2017年7月15日 講義
第5講 人間は最高の存在
1.哲学の根本問題● 近世の幕開け・ルネッサンス ・人間性の復興を求める運動 ・一人ひとりの人間の主体的自由を尊重する ・人間性復興の運動のなかで、人間と自然との関係が哲学上の課題に ● 近世の哲学の最高の問題は、思考と存在の関係 ・エンゲルス「すべての哲学の、とくに近世の哲学の、大きな根本問題は、 ・世界のうちで、人間の精神(思考)と自然(存在)のどちらが根源なのか ・世界の根源性と認識の根源性をめぐって、唯物論と観念論の哲学的な対立 ・エンゲルスは、観念論者とは「自然に対する精神の根源性を主張し、した ● 唯物論と観念論 ・今日では自然科学の発展により、世界の根源性が物質(存在)にあること ・しかし認識の源泉性については、人間精神の変革・創造性に引きずられて、 ・しかし人間の創造的意識も、物質を感性でとらえ、知性、悟性の認識を経 ・したがって、世界の根源性の問題でも、認識の源泉性の問題でも唯物論が ● 人間にとってもっとも根源的な物質は、人間自身 ・物質世界は、自然、人間社会、人間からなっているが、人間にとってもっ ・人間は、自然、社会、人間の変革・創造を実現する ・マルクス「人間にとっての根本は、人間そのもの」(全集① 422ページ) ・人間そのものを最高の存在にしようとする人間論は、唯物論哲学の最高の ・人間論の探求は、「大切にしなければならないのは、ただ生きるというだ
2.人間を最高の存在に● マルクスの問題提起 ・人間を「人間としての最高の存在」(全集① 422ページ)にするには、「 ・人間を最高の存在にするには、人間らしく生きる権利を疎外する「いっさ ● 個人の尊厳 ・人間が人間らしく生きるためには、個人の尊厳を実現させること ・個人の尊厳は、人間の本質の総称であり、そこにはいくつかの尊厳が含ま ・第1は、生の尊厳 ── 人間の一人ひとりはかけがえのない存在であり、 ・憲法13条も個人の尊厳としてまず「生命」を ・第2は、自由の尊厳―ルソーの『社会契約論』の冒頭に「人間は自由なも ・憲法13条も個人の尊厳として「生命」に次いで「自由」を ・マルクスも「自由な意識的な活動は、人間の類性格である」(全集㊵ 436 ・「階級と階級対立のうえに立つ旧ブルジョア社会に代わって、各人の自由 ● 幸福追求権と共同社会性 ・アメリカの独立宣言、日本国憲法は、個人の尊厳として生命、自由のほか ・幸福追求権とは、心の平穏を保って自己の行動に満足を見いだすこと ・自己の行動という特殊的意志に満足を覚えることは、人間らしく生きる権 ・他方マルクスは「人間の本質は、人間が真に共同的な本質であることによ ・しかし個人の尊厳はあくまで個人の権利であるから、共同社会性は含まれ
3.個人の尊厳は階級闘争の焦点● アベ一強政治の本質 ・アベ一強政治とは、小選挙区の公認を軸とするアベ独裁政治 ・アベ首相は最高の権力者を自任し、秋の臨時国会に9条改憲をもちだす立 ・日本を戦争する国にして、国民の生の尊厳、自由の尊厳を奪おうとするも ・つまりアベ一強政治とは、個人の尊厳を否定する政治に他ならない ● 個人の尊厳は階級闘争の焦点 ・市民と野党の共闘は、立憲主義を回復して、個人の尊厳を求めている ・階級闘争の焦点は、9条改憲による戦争する国にするのかいなかにあり、 ・個人の尊厳を守る統一戦線の結成こそ、現在の最高の課題
4.人間論から社会変革論に● 個人の尊厳を語り合う ・まず個人の尊厳を語り合うことは、人間とは何なのかを語り合い、私たち ・その語り合いは同時に、アベ内閣により人間の本質が疎外されていること ・こうして語り合いは、最高の存在である人間の疎外を生みだしているのが、 ・いわば、人間論から出発しながら、議論はアベ内閣をつうじて人間社会変 ● 人間論から人間社会変革論に ・社会変革の運動には、圧倒的多数の国民の結集が必要 ・思想・信条を異にする国民の大多数を結集しうるのが、思想・信条を越え ・今こそ人間論から出発し、人間社会の変革論につながる国民的討論と統一
|