2020年2月15日 講義
第5講 事実と価値
1.人間の脳● 脳の総合性 ・人間の脳は見たり、聞いたり、記憶したり、考えたり、創造したりという ・20世紀の半ば以降の認知科学(心のはたらきにかかわる現象を「情報」の ・つまり人間は、感性、知性、記憶、概念、ことばなどを総合して、創造し、 ● 創造性、変革性は、意識下の情報処理と意識のうえでの情報処理の統一か ・意識下の情報処理の促進と、目標を達成しようとする意識のうえでの情報 ・「意識下と意識のうえでの情報処理が上手に統合されているところに、創 ・意識下の情報処理とは事実を認識することであり、意識のうえでの情報処 ・つまり、創造性とは、事実と価値の統一としての認識である ・したがって、「創造性は、人間の本質である思考の自由から生まれる、最
2.へーゲル哲学は「脳の総合性」をとらえている● へーゲルは、人間の認識を「有論」「本質論」「概念論」としてとらえた ・人間の認識を事実の認識から段階的に発展して、価値の認識としての創造 ・有論とは、事物の表面的な現象を認識するものであり、本質論とは、事物 ・へーゲルは、「概念が有および本質の真理である」として、事実の認識を ・この考えを「概念論」のなかの「判断」論でも使用している ● へーゲルの「判断」論 ・「判断の諸種類は、同じ価値を持つものとして並列さるべきものではなく、 ・「『この壁は緑である』とか、『このかまどは熱い』というような判断し ・この考えから、判断を「有、本質、および概念という3つの段階」(同) ・エンゲルスは、『自然の弁証法』において、へーゲルの判断論をとりあげ、 ・重要なことは、へーゲルが判断には低次から高次までさまざまの判断があ ・「哲学はただ理念をのみ取扱うものであるが、しかもこの理念は、単にゾ ・つまり、へーゲルは人間の脳の総合的な作用の最高の機能として、人間の
3.「脳の創造性」への哲学的攻撃● ヒュームの不可知論 ・ヒューム(1711〜1776)は、経験論から出発しながら、不可知論に陥っ ・すなわち、経験にもとづく感性・知性こそ知識の源泉だとするが、経験は ・つまり経験が教えてくれるのは、Aの次にBが生じるというだけであって、 ・人間の認識である感性、知性と必然性、普遍性との間に断絶をもちこむ ・エンゲルスは、「観察による経験だけでは、けっして必然性を十分に説明 ● カント(1724〜1804)のコペルニクス的転換 ・カントは、ヒュームに学んで認識論をコペルニクス的に転換した ・すなわちカントは、すべての認識は経験から出発するが、普遍性、必然性 ・人間の悟性は、生まれながらにカテゴリーを有しており、このカテゴリー ・つまりカントは、人間の認識がもっている感性と悟性の間に断絶をもちこ ・このカントの考えは、感性による事実の認識と、悟性による価値の創造を ● 新カント主義者ウェーバー(1864〜1920)による事実と価値の峻別 ・ウェーバーは、新カント主義の影響のもと、事実(感性)と価値(悟性) ・事実には真理があるが、価値には真理はなく、多様な価値観のなかから「 ・この考えは、価値(創造性)を探究することは科学ではないとして、人間 ・したがって「『唯物史観』というものは、だんことして排斥されるべき」 ・ウェーバーは、唯物史観を、事実と価値を混同しているとして攻撃し、反
4.「脳の創造性」からの反論● 新カント主義の破綻 ・新カント主義は、第2インターナショナルを修正主義に転換させ、労働者 ・ウェーバーの「経験科学の没価値論」は、もっぱら解釈の立場から事実と ・しかしへーゲルのいうように、人間の認識能力は、事実の判断に始まって、 ・いわば、人間の認識能力は、事実と価値の統一を実現して、社会変革を科 ● 科学的社会主義の変革の立場 ・科学的社会主義は、唯物論にもとづいて脳を科学的に解明し、脳が創造性 ・同時に科学的社会主義は、理論的にも弁証法的唯物論を使って、人間の創 ・すなわち科学的社会主義は、まず現実の分析をつうじて事実の真実を明ら ・こうして科学的社会主義は、価値の真理をかかげて科学的に変革の立場を ・事実と価値は、連続性と非連続性との統一という関係のうちにあり、新カ
5.価値にも真理がある● 反共攻撃としての「事実と価値」の峻別論 ・ウェーバーの「経験科学の没価値論」は、今日完全に破綻しているが、し ・支配階級は、政治論議になると、「価値観の多様性」を主張して、真実の ・これは、価値については、真理は存在しないのであり、「価値観の選択」 ● 弁証法は、価値の真理を認める ・科学的社会主義は、弁証法を理論的基礎とすることにより、価値の真理を ・日本共産党は、20回大会で「歴史にたいする前衛党の責任とは何か」を問 ・ここにいう真理とは、未来の真理、価値の真理であり、真理には事実の真 ・価値の真理は、真理のもつ力によって、「未来においては、いろいろなジ ・「その方向が真理にそっているかぎり、たたかってむだなたたかいはない」 ● 真理の単一性 ・事実の真理も価値の真理も、真理であるがゆえに単一なもの ・多様な価値のなかから、単一の価値の真理を発見することによって、国民 ・科学的社会主義の学説は、真理を追求し、掲げることによって、真理のも ・したがって、価値の真理としての「真理は必ず勝利する」ことになる
6.野党連合政権の実現は、価値の真理の実現● 野党連合政権実現への話し合い ・志位委員長は、昨年7月の参院選で、13項目で合意して野党共闘を実現し ・その後、立憲民主、国民民主、社会民主、れいわ新選組と共産党との党首 ・それを受けて、28回党大会決議として、1立憲主義、2格差是正、3多様 ● 日本共産党の提案は、そのときどきの価値の真理を体現したもの ・日本共産党は、2015.9、安保法制が成立した直後に「国民連合政府」を提 ・それは、いずれもそのときどきの市民の声のなかから「価値の真理」を引 ・「3つの方向」も13項目を整理して発展させた価値の真理 ・党大会に出席した国民民主の平野幹事長は、「この3つの大きな柱は、日 ・同じく出席した立憲民主の安住国対委員長は、政権論について「十分話合 ● 価値の真理だからこそ、野党共闘を前進させうる ・統一戦線とは、価値の真理がもつ力により、国民の大多数を統一しようと ・いま野党連合政権は、日本共産党の大会に野党各党の代表が出席し、一体 ・日本共産党は、弁証法による価値の真理の担い手として、変革の立場をつ
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