2020年8月15日 講義
第11講 理念と目的
1.「観念論者」へーゲル● エンゲルス『空想から科学へ』 ・「へーゲルは観念論者であった。つまり、彼にとっては、彼の頭脳のなか ・つまりへーゲルは、「世界よりもまえに」存在していた理念が現実となっ ・マルクスも『資本論』のなかで、「へーゲルにとっては、彼が理念という ● マルクス、エンゲルスのへーゲル評価により、以後へーゲルは観念論を代表する人物として扱われてきた ・しかしその考えが正しいのかが、検証されなければならない
2.「観念論的装いをもった唯物論」のへーゲル● 奴隷の言葉 ・へーゲルは、フランス革命直後の「自由の精神」のもとで、1818年官僚養 ・「1820年のプロイセンでは君主制と封建諸侯、そして彼らの警察と検閲が ・そのなかで、へーゲルは大学教授の地位を保ちながら、奴隷の言葉で自己 ● へーゲル哲学は、「観念論的装いをもった唯物論」 ・しかし、へーゲル哲学をよく読めば、奴隷の言葉の陰に、現実世界の分析 ・そこで、へーゲル哲学は「観念論」ではなく、「観念論的装いをもった唯
3.イデア論から理念へ● 古代ギリシアのイデア論 ・古代ギリシアの3大哲学者、ソクラテス、プラトン、アリストテレスは、 ・ソクラテスは、「徳とは何か」「正義とは何か」の問いを発し、「徳」や ・一般にプラトンは「ただイデアをのみ真実なものと考える」(『小論理学』 ● へーゲルのイデア論 ・これに対しへーゲルは、プラトンもアリストテレスも、イデア(理念)を ・つまり、アリストテレスは内的な真実であるイデアが外にあらわれでて現 ・へーゲルは、アリストテレスのイデア論に学んで、内的なものが外的なも ・「内的なもの」とは主観的なもの、「外的なもの」とは客観的なものであ ・したがって、へーゲル哲学にとって「理念」は最高のカテゴリーとなって ● へーゲル哲学体系における理念 ・「人生において真実なもの、偉大なもの、神的なものは、理念によってそ ・すなわち「理念や理想は現実性を手に入れるにはあまりにも無力であると ・へーゲルの「理念」は、社会変革を目的とする科学的社会主義の学説にと ● 理念は真理 ・へーゲルは、人間は客観的事物の本質を認識するが、本質には本質を規定 ・すなわち理念とは、現実の分析から生じた未来の真理という唯物論的な真 ・理念は、最初は少数者の認識であるが、真理の力によって次第に多数者の ・日本共産党は、第20回大会で「歴史に対する前衛党の責任とは何か」をと ・これは、未来の真理としての理念を論じたものであり、理念をかかげてた ● 理念は真理として理想と現実の統一を実現する ・へーゲルは「哲学の最高の究極目的」(同 69ページ)は「自覚的な理性 ・つまり現実の矛盾を解決する理念をかかげることによって、現実を変革し、
4.理念と目的● 人間は目的をもって生産する ・人間は生きるために、衣、食、住という物質的生活手段を生産しなければ ・生活手段を生産するとは、人間が自然に働きかけ、自然を変革することで ・「人間は普遍的に生産する。動物はただ直接的な肉体的必要に押されて生 ・人間は自由意志にもとづき、「目的」をもって自然に働きかけ、自然を変 ・したがって、目的と理念との関係が明らかにされねばならない ● 目的から理念に ・目的とは、客観性との「対立を否定して、それを自己と同一なものとして ・すなわち、目的は「主観的なものと客観的なものとの対立を含みながら、 ・目的は真理を求めるものとして、目的のうちには「概念(真にあるべき ・したがって目的を追い求めることは、段階的に、概念の最高の段階である ・こうして、「目的から理念への発展」(同 201ページ)が段階的におこな ● 理念から目的に ・プラトンは「認識される対象には真理性を提供し、認識する主体には認識 ・「善のイデア」とは理念のことであり、理念は、対象の真理を示すもので ・理念はイデアのなかのイデアとして最高のイデアであるから、認識主体と ・つまり理念は真理であるからこそ、その真理のうちに包摂される下位の理 ・日本共産党は、民主主義的な変革を「理念」としてとらえ、他方「民主的 ・これも理念が目的の「認識機能を提供する」ものと理解したもの ● 理念と目的の相互媒介 ・理念と目的は相互媒介の関係にある ・目的は理念を生みだし、理念は目的を認識可能にする
5.日本共産党のと理念と目的● 野党連合政権の統一戦線 ・3回目の野党統一候補でたたかった、2019年参院選をつうじて、次の総選 ・2019.8 志位委員長は、これまで共闘してきた諸野党に対し、野党連合政権 ・その基礎には、市民連合と5野党・会派が、2019参院選で結んだ13項目の ・その後、党首会談が、立憲民主、国民民主、社民、れいわ新選組との間で ・日本共産党は、28回大会で13項目のエッセンスとして、「安倍政治からの ・「3つの方向」とは、第1に憲法にもとづき、立憲主義、民主主義、平和 ・野党連合政権の統一戦線結成は、アベ政権を打倒する「目的」であり、「 ・なぜ野党連合統一戦線が「目的」なのかといえば、それは日本の「あるべ ● 日本共産党の理念と目的 ・日本共産党の理念は、資本主義を乗り越えた社会主義・共産主義の社会の ・社会主義・共産主義の社会とは、「原則として一切の強制のない、国家権 ・この日本社会の理念は、日本社会の現状を分析し、その矛盾を解決する未 ・この「理念」は、認識主体としての日本共産党に、現状分析として「異常 ・民主主義革命は目的ではあるが、理念から生まれた目的として、より小さ ・しかし、民主主義革命を実現する統一戦線はまだ結成されていないから、 ・参院選の13項目の共通政策をまとめた「安倍政治からの転換の3つの方向」 ・いわば日本共産党の民主主義革命という「理念」は、その真理性を発揮し ・理念は真理であるから、その真理性から認識主体に認識根拠を与え、理念 ・逆に下位の理念や目的は、真理性を追求することによって上位に存在する ・つまり野党連合政権の統一戦線という「目的」が実現され、真理性を追求 ・だから理念をもつものは、ブレないで確固不動に活動することができる
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