● 聴 講(①1:00:08、②41:43、③17:06)

 

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第1講 精神現象学とは何か
    序論① 真理は主体である

 

ヘーゲルの最初の体系的哲学書である『精神現象学』(『現象学)』)を、
①科学的社会主義の立場から、
②現代の脳科学の到達点を踏まえつつ、
③ヘーゲル哲学の出発点として、
全15回で学んでいきたい。

ヘーゲル哲学の特徴は、常に時代の精神をとらえようとするところにあり、
『現象学』(1807年)も政治的にはフランス革命、
哲学的にはドイツ古典哲学(カント、フィヒテ、シェリング)という
時代の精神を批判的にとらえようとしている。

『現象学』には、「意識の経験の学」との標題もついている。
つまり『現象学』は、人類の精神(つまり人間社会)がたどってきた
「精神の現象」する真理探究の道程を、
個人の「意識の経験」を積み重ねながら追行する道程としてとらえている。
それは、「個体発生は、系統発生を繰り返す」という
ヘッケルの「反復説」を人間の精神にも適用したものである。

「序論」の根本思想は、
「真理を、実体としてではなく主体としてとらえる」ことにある。
つまり、真理は出来上がった実体ではなく、
誤りを繰り返しながら主体的に生成されるものである。
『現象学』は、その真理生成の長い道程を
「意識」と「精神」の両面から追及する。
ヘーゲルは、シェリングの主観と客観の絶対的同一性の哲学について
真理を実体としてとらえたものとして批判し、
『現象学』は永年親交を結んだシェリングとの決別の書となっている。