● 聴 講(①42:44、②42:08、③22:50)
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第9講 善と良心
道徳とは「当為の立場」であり、言い換えると「価値の立場」である。
道徳における究極的な真にあるべき生き方が「善」であり、
善は価値の真理である。
事実と価値を峻別し、事実には真理があるが、
価値には真理がないとする見解があるが、それは正しくない。
人間は、生き方の問題のみならず、自然や社会をも変革する存在として、
不断に当為または価値を掲げて生きるのであり、
そこに真理がなければ生きる意味そのものが失われる。
カントは「汝の意志の格率がつねに同時に1つの普遍的な立法の原理として
通用しうるように行為せよ」との道徳律をうちたてることで
「善」を規定しようとした。
しかし「普遍的な立法の原理」とは何かが規定されない以上
問題は解決されない。
そこで「善」を決めるのは「良心」だとする見解が生まれる。
しかし、良心と言われるものも「絶対的自己確信」にすぎないから、
ここにも「善」の解はない。
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